プラチナバイオ株式会社(PtBio Inc.)

クラウド型ゲノム編集支援オープンプラットフォーム「Genome Editing Cloud®」にGGGenomeパッケージ版を連携
プラチナバイオ株式会社では、2023年の正式ローンチを目指し開発しているゲノム編集支援オープンプラットフォーム「Genome Editing Cloud®」にて提供する、安全性評価機能にレトリバの「GGGenomeパッケージ版」を採用。GGGenomeパッケージ版は、独自の塩基配列データベースを利用できるため、商用サービス用途での安全性評価にも対応可能となる。

GGGenomeパッケージ版導入のポイント

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産学連携によるゲノム編集で未来を拓くプラチナバイオ

 プラチナバイオは「ゲノム編集とデジタル技術で未来を拓く」をビジョンに、「共創」「社会実装」「バイオ×デジタル」の3つのキーワードを掲げる、広島大学発のベンチャーだ。同社は、広島大学ゲノム編集イノベーションセンターの山本 卓教授らの国産ゲノム編集技術「PlatinumTALEN」を核にして設立され、国産ゲノム編集技術の事業化を推進、モデル動物・細胞作製のサービス提供による創薬事業の支援などを行っている。
 「ゲノム編集によるさまざまな課題解決をいち早く多くの人にお届けする、いわゆる社会実装を、企業とも連携しながら進めています」と話すのは、プラチナバイオ株式会社 代表取締役CEOの奥原 啓輔氏。奥原氏はJST(国立研究開発法人科学技術振興機構)、内閣官房知的財産戦略推進事務局、東広島市を経て、2016年には広島大学の山本教授と「ゲノム編集」産学共創コンソーシアム(OPERA)を構築、2019年にはともにプラチナバイオを創業した。
 プラチナバイオは2021年3月、凸版印刷、広島大学と共同開発した「Genome Editing Cloud®」のβ版を発表。Genome Editing Cloud®は、AIを活用し、ゲノム編集のデータ処理を簡易化する、ゲノム編集支援のためのオープンプラットフォームだ。 

 「ゲノム編集はさまざまな分野の問題を解決できる可能性がある一方、膨大なデータを解析しなければならなく、それが研究者の大きな負担になっています。そこで、プログラミング言語を意識せずゲノム編集のデータ解析が行えるプラットフォームが必要だと考えました」(奥原氏)。

ゲノム編集支援オープンプラットフォームにGGGenomeパッケージ版を導入

 Genome Editing Cloud®(β版)では安全性評価に、DBCLS(ライフサイエンス統合データベースセンター)が公開しているGGGenomeウェブ版を利用している。
 Genome Editing Cloud®の開発において中心的な役割を担う、プラチナバイオ株式会社 主任研究員の中前 和恭氏は、「DBCLSのGGGenomeウェブ版では、公共データベースに掲載されているゲノムでしか検索を行うことができないため、私たちが解読したゲノム情報やお客様が独自に持っているゲノム情報は扱えません。ゲノム編集は品種改良などで利用する技術であり、対象とする品種のゲノム情報がなければ、それだけ意図しないゲノム改変が加わるリスクが増大します」と商用利用に耐えうる安全性評価の必要性を話す。
 そこで、プラチナバイオの科学技術顧問でもある広島大学の坊農秀雅特任教授にも相談し、他のツールなどとの比較、検討を行った結果、GGGenomeパッケージ版を採用。採用理由について中前氏は「GGGenomeパッケージ版は、独自の塩基配列データベースを追加することが可能です。シンプルな静的APIを備えており、クラウドサービスと連携させることも容易ですし、縮重塩基表記やギャップ(バルジ)型オフターゲットの検索といった複雑な要求に対応できるのも良いです」と解説する。
 Genome Editing Cloud®への実装に向け、実際にGGGenomeパッケージ版を試用したところ、「さまざまな機能を持ち、私たちの期待に十分応えてくれています。特に複数の配列を一括検索できる検索支援スクリプトの利用価値は非常に大きいです」と中前氏は評価する。
 なおGenome Editing Cloud®ではゲノム編集データ解析をサポートするいくつかの機能が提供されるが、GGGenomeパッケージ版は、ガイドRNAを設計・評価する「Designer」機能に連携させていく予定だ。

GGGenomeパッケージの機能を付加し、ゲノム編集の「スタンダードツール」を目指す

 Genome Editing Cloud®は2023年度の正式ローンチに向け、GGGenomeパッケージ版をはじめ、さまざまな機能実装を続けていく。クローズド版やβ版を実際に研究者や企業の方に利用して
もらったところ、「簡単なUIでゲノム編集を実現できるので非常に良い」という高評価を得ることができた。同時に、追加機能の要望も多くあるそうで、今後は、さまざまな企業にご活用いただきつつ、機能拡張をおこなっていく計画だという。
 今後の展望について中前氏は、「Genome Editing Cloud®が最終的に目指すところは“スタンダードツール”です。ゲノム編集に慣れた人だけではなく、ゲノム編集をはじめようという人が、GenomeEditing Cloud®を触ってゲノム編集のデザインあるいは解析はこういうものなんだ、こういうことができるんだ、ということを知ってもらいたいのです。ゲノム編集の世界への入り口となるスタンダードツールと位置付けて、これからも開発を続けていきます」と語る。
 奥原氏は、「GGGenomeパッケージ版は、ゲノム解析の中で重要な役割である塩基配列の検索を担いますので、期待するところは大きいです。Genome Editing Cloud®は、とにかく扱いやすい簡単なツールを目指していきます。例えば、細胞などを直接取り扱うウエット系研究者の方は、コンピュータ上で解析するドライ解析にとっつきにくい印象を持つ方も多いと思いますが、Genome Editing Cloud®でそれを払拭したいです。データをアップロードして、ボタンを押したら結果が出るくらいの簡単さであるけど、その裏では最新で信頼性の高い仕組みが動いているというものを実現していきたいです。プラチナバイオとしては、アカデミアと産業界の垣根もなくしていくためのハブになれるようなさまざまな取り組みを進めていく予定です」と今後の展望を語った。

インタビュー / 導入事例

GGGenomeの開発者であるDBCLSの内藤雄樹特任助教へ開発の背景や思い、GGGenome によってライフサイエンス研究の未来がどうなるのかをインタビューいたしました。
「核酸医薬品のオフターゲット効果の評価」受託試験の評価メニューの一つであるin silico解析に、レトリバの提供する「GGGenomeパッケージ版」を導入していただいております。
人工核酸スクリーニングプロジェクトにおいてアンチセンス核酸のオフターゲットリスク評価にGGGenomeパッケージ版を導入していただいております。


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